●婚前契約書
●夫婦円満契約書
婚前契約とは、あらかじめ、幸せな夫婦生活を営むための契約書を夫婦間で結んでおくものです。
また、夫婦に離婚問題が起きたときには、夫婦間で話し合って問題を解決しますが、このとき夫婦双方で確認した内容を整理し、それを契約書にすることがあります。(後日、離婚協議等で役に立つ場合もあります)
夫婦間の契約は、婚姻期間中であれば、一方側からいつでも取り消しできます。(民法754条)
ただし、夫婦関係が破綻し又は破綻に瀕した状態でした契約は、その取り消しは認められないとされています。(最高裁判決昭和42.2.2)
(内容項目の例)
・円満な夫婦生活
・連絡の励行
・家事への協力
・子どもへの愛情と育児の協力
・無断外泊の禁止
・倹約の励行
・高価物品の購入
・会話の励行
・親族と良好な関係
・暴力の禁止
・極端な宗教活動の制限
・危機管理
・プライバシーの尊重
・契約内容の変更 等
南日本新聞2019.2.24
上記の「婚前契約」とは「夫婦間のルールや離婚時の財産分与などを結婚前に書面に取り決める」もので、「トラブルの事前防止」や「お互いの価値観を確かめて不安を解消する」手段として広がっているという。
では、婚姻「後」にも同様の契約はできないのだろうか。
残念ながら夫婦間の契約は、法律上、婚姻中はいつでも一方から取消しができることになっている。
だとすると、作っても意味がないかと言えばそうでもない。
例えば、
①夫婦で契約書を作ればそれを守る意識も同時に共有されるので、実生活の中で効果として表れる。
②契約違反が起きた場合、夫婦の話し合いや離婚協議の際、過去の経緯等を確認できる証拠資料になる。
③夫婦関係が破綻、または破綻に瀕した状態で結んだ契約の取消しは認められないとの判例もある。
したがって、夫婦間に深刻な問題が起きた時など、夫婦で話し合って大事なことに合意できれば、関係再構築のために契約書を作ることも価値がありそうだ。
100回の口約束より1枚の文書である。
そうした行動が不安を解消させ、夫婦で前を向いて進んでいけるきっかけになれば、婚姻後の契約も遅くはない。