●離婚後の氏
わかりやすくするために仮に、A田太郎さんと結婚・離婚したB山花子さんのケースを考えてみます。
A田太郎さんとB山花子さんは婚姻により、どちらかの氏を称することになります。(民法750条)
【婚姻によって氏を改めなかった場合】
・B山花子さんがB山さんの氏を名乗るとすると、婚姻によりB山太郎・B山花子となり、離婚してもB山花子はB山花子のままの氏を名乗ることになります。
【婚姻によって氏を改めた場合】
・B山花子さんが、A田さんの氏を名乗るとすると、婚姻によりA田太郎・A田花子となり、離婚すると婚姻前の氏(B山花子)に当然復します。(復氏)(民法767条)
・婚姻によりA田花子になったB山花子さんが、結婚時の氏(A田)を離婚後も名乗っていきたい場合は、離婚の日から3ヶ月以内に「離婚の際に称していた氏を称する届」を出せば、結婚していたときの氏(A田)を名乗ることができます。(この届出は離婚の届出と同時にすることも可能です)(戸籍法77条2)
●離婚後の戸籍
【婚姻によって氏を改めなかった場合】
・B山花子さんは、離婚後も戸籍に変動はなく、そのままの戸籍にとどまります。
【離婚後によって旧姓に復した場合】
・原則として、婚姻前の戸籍に戻ります。(復籍)
・例外的に、次の場合は新戸籍を作って、その戸籍に入ります。
①婚姻前の戸籍が除籍されている。
②婚姻前の氏に戻った人が新戸籍編製の申し出をする場合
③婚姻時の氏を名乗りたいとして婚氏続称の届出を行った場合
●子どもの氏
・父母が離婚しても、子どもの氏は当然には変更されません。
・離婚によって親権者が旧姓に戻っても、子どもの氏が変わるわけではありません。
・例えば、親権者の母親が旧姓に戻ったとしても、母親と子どもの氏が異なることになります。
・妻が離婚で夫の戸籍を抜け、妻が親権者として子どもを引き取っても同じです。
●子どもの戸籍
・母親が婚姻時の姓を続称したとしても、姓は子どもと同じですが戸籍は異なります。
・子どもの戸籍は、何も手続きをしなければ従前のままであり、親権者の戸籍に自動的に移動することはありません。
・子どもと親の氏が異なる場合、子どもは親の戸籍に入ることはできません。
・このような場合、「子の氏の変更許可」(民法791条)を申立て、子どもの氏を復氏した親権者の氏と同じにすることができます。
・その後、子どもが親権者の親の戸籍に入籍する旨の届出をします。