●親権者
未成年の子どもがいる場合、親権は、父母の婚姻中は父母が共同して行います。(民法818条3項)
夫婦が離婚する場合、協議をしてどちらか一方を親権者と定めなければなりません。(民法766条、819条)
したがって、離婚届出をする場合、離婚届に親権者について記載されていなければ離婚届は受理されず、離婚はできないことになります。
子どもが複数いる場合は、それぞれの子どもについて親権者を決めます。
未成年の子がいる場合は、面会交流や養育費の分担等も父母の協議で定めます。(民法766条)
(親権者が問題となるのは、子どもが未成年の場合だけで、子どもが成人に達していれば、子どもは親の親権に服することはありません)
親権とは、①身上監護権 ②財産管理権 という2つの権利義務の総称で、この2つの権利義務は別々に切り離して分けることができます。(父母が協議の上離婚するときは、この監護をすべき者、監護について必要な事項は、その協議で定める。(民法766条))
①身上監護権
・監護及び教育の権利義務・・・親権を行う者は、この利益のためにこの監護及び教育を行う権利を有し、義務を負う。(民法820条)
・居所の指定・・・子は、親権を行う者が指定した場所に、その居所を定めなければならない。(民法821条)
・懲戒・・・親権を行う者は、必要な範囲内でその子を懲戒することができる。(民法822条)
・職業の許可・・・子は、親権を行う者の許可を得なければ、職業を営むことができない。(民法823条)
②財産管理権
・財産の管理及び代表・・・親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する。(民法824条)
・未成年者の法律行為・・・未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りではない。(民法5条)
したがって、親権者は父親、監護者は母親とすることも可能ではあります。
但し、この監護権は離婚届には記載されませんので、離婚協議書や公正証書にしておくことが必要です。
なお、調停や審判などで裁判所が親権者を決める際、重視されるのは「子どもの利益」と「福祉」にかなうかどうかと言われています。
具体的には、①監護体制 ②子どもに対する愛情、監護意思 ③子どもの年齢や意思 ④子どもの現状 ⑤兄弟姉妹 これらを総合的に考慮し判断されるようです。