●●公正証書遺言とは●●
●公正証書遺言をお薦めします。
公正証書遺言は、
・証人2人の立会いのもと
・遺言者本人が公証人の面前で遺言の内容を口授し
・それに基づいて公証人が遺言者の真意を正確に文章にまとめ、公正証書遺言として作成するものです。
・遺言者の代理人が行うことはできません。
但し、実務上は遺言の内容を記載した原案、書面やメモをあらかじめ提出しておき、公証人がそれをもとに作成します。
その日に行って、その日にできるものではありません。
●公正証書には次のようなメリットがあります。
① 公証人は、多年裁判官等の法律実務に携わってきた法律の専門家で、正確な法律知識と豊富な経験を有しています。
したがって、複雑な内容であっても、最終的には法律的に見てきちんと整理した内容の遺言になりますし、もとより方式の不備で遺言が無効になるおそれもありません。なお、当然に公証人には守秘義務が課されています。
② 公正証書遺言は、家庭裁判所で*検認手続きを経る必要がないので、相続開始後速やかに遺言の内容を実現することができます。残された家族はとても助かります。
*検認手続きとは:
・相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続。
・遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。
・遺言者の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本、 相続人全員の戸籍謄本、遺言者の子(及びその代襲者)で死亡している方がいらっしゃる場合、その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本などを収集する必要があります。相続人が誰なのかによって収集する書類が変わります。
・また、相続人全員が立ち会うことになります。
・資料収集から検認まで2~3カ月かかることもあります。
③ 原本が公証役場に厳重に保管されますので、遺言者の死亡まで他人の目に触れることは絶対にありません。
遺言書が破棄されたり、隠匿や改ざんをされたりする心配も全くありません。
震災等により原本や正本・謄本が滅失しても復元ができるようにする原本の二重保存システムも構築され、保管の点からも安心です。
④ 自筆証書遺言は、全文自分で自書しなければなりませんので、体力が弱ってきたり、病気等のため自書が困難となった場合には、自筆証書遺言をすることはできませんが、このような場合でも公正証書遺言はすることができます。
署名することさえできなくなった場合でも、公証人が遺言者の署名を代書できます。
※なお、遺言者が高齢で体力が弱り、あるいは病気等のため、公証役場に出向くことが困難な場合には、公証人が遺言者の自宅又は病院等へ出張して遺言書を作成することも可能です。(判断能力が衰えた場合は遺言自体ができません)
●公正証書には次のような点もあります。
■1.記載漏れが無いよう調査・資料収集する等、公証人がこれらをしてくれるわけではありません。
【必要な書類】
①遺言者の戸籍謄本と印鑑登録証明書(3カ月以内)、運転免許証等
②財産をもらう人の書類
財産をもらう人が相続人の場合は、遺言者との関係がわかる戸籍謄本
財産をもらう人が相続人でない場合は、住民票
③財産の中に不動産がある場合
・土地、建物の登記事項証明書
・固定資産税の固定資産評価証明書
④貯金、動産、有価証券等
金融資産の内容がわかるもの
預金、株券等について、個別に記載する場合は、通帳等のコピー
⑤立会証人2名の住民票各1通
⑥遺言執行者を決めておく場合は住民票または運転免許証の写し
⑦ケースによっては医師の診断書(病状と判断能力があるという内容の記載) など
■2.遺言者の真意を確保するため証人2人の立会いが義務づけられていますが、遺言の存在と内容が秘密にできません。
(行政書士が証人になれば、法律による守秘義務が課されており、秘密は固く守られます。)
■3.作成料、手数料などの費用が必要です。
■4.公証人は、国の公務である公証事務を担う公務員であり、事実の存在や契約等の法律行為の適法性等について、中立的立場で公権力として証明・認証することが職務です。したがって、公証人は遺言者が希望する内容を遺言として法律的に有効な形に整えてくれますが、その過程で個々の依頼者にじっくり時間をとって細かい事情まで聞いたり、依頼者の立場になって「こうした方がいいですよ」「こういう問題がおきますよ」等、内容に立ち入ってトラブル予防のアドバイスを言ってくれるわけではありません。これらは職務外のことですので、専門家(弁護士や行政書士)を通して作成することになります。
■5.公証役場で遺言を作成すると、死亡後は公証役場が全て手続き(遺言執行)をしてくれるものと考えている人がいますが、そのようなことはありません。
弊所にご依頼いただきますと、調査・資料収集、原案作成、公証人との打合わせ、証人、遺言執行まですべてお引き受け致します。
(遺言者は1回のみ公証役場に行っていただきます)