●相続対策について
相続対策には2種類あります。
いわゆる「争続対策」と「相続税対策」です。
「争族対策」つまり、もめない対策としては、公正証書遺言の作成が最も有効です。
その際、遺留分・予備的遺言・付言事項等にも配慮しておくことが大切です。
「相続税対策」としては、まず相続税が課税されるかどうかを知ることが大切です。
相続税がかかってくるのは、正味の遺産額が基礎控除額を超える場合です。
・基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数
したがって、遺産がこれ以下の場合は、「相続税対策」自体必要ありません。
(およそ90%の人がこれにあたります)
このことを知っていないと、闇雲に「相続財産価額から借金額を引くことが出来るから、借金をして不動産投資しておこう」などという話を聞くことがありますが、そもそも何の対策にもなっていないこともあり得るのです。(仮に、相続税の課税対象額を下げることはできても、その借金を負担するのはあくまで相続人です)
ここまで見てきた通り、「争族対策」「相続税対策」いずれの相続対策をおこなうにしても、しなくてはならないのは、まず財産を確認して「財産目録」を作成することになります。
どんな財産があるか知らないことには、遺言も相続税対策もできません。
また、残された家族が、亡くなった方の財産をすべて把握していることは、まずありません。
したがって、財産目録を作成しておけば、遺産分割協議も速やかに開始できますし、その後の相続手続きも計画を立てやすくなります。
さらに、仮に相続税が課せられたとしても、申告漏れを防ぐことができます。
財産目録を作成した後、具体的な相続対策を考えてみましょう。
一般に、相続税対策としてとしてよくある方法は、贈与と生命保険契約です。
贈与:年間110万円以下であれば、贈与税はかかりません。
生命保険:相続財産から死亡保険金が控除(500万円×法定相続人の数)できます。
ここでの注意点は、自分の老後の生活資金を削ってまで、相続対策を行う必要はないということです。
老後に向けて、余裕を持って生活資金を確保することが一番大切です。それでも資産に余裕があるのであれば、生前贈与や生命保険によって相続対策を考えてみてはどうでしょうか。
結局、「子孫に美田を残さず」が一番の相続対策かも知れませんね。