●強制執行認諾約款
公正証書にこの記載があると、債務不履行があった場合に、裁判を経ずとも強制執行ができます。
① 強制執行の対象にできるのは、契約のうちでも「金銭の支払い」に関する部分だけです。
そのため、財産分与、養育費、慰謝料の支払いは強制執行の対象となりますが、面会交流などは対象になりませんし、「自宅不動産を譲渡する」といった内容では差押えはできません。
② さらに、支払うお金の金額が確定しており、支払期日が確定している必要があります。
養育費であれば、「子ども1人につき毎月5万円を毎月末日に支払う」といったことが確定できていることが必要になります。
差押えができない例として、「大学の授業料を支払うことを約束する」といった約束形式の文言になっていたり、「大学の授業料の支払いについては別途協議する」といったものも差押えはできません。
強制執行で差し押さえることができる財産は、給与、預貯金、不動産などが対象になります。
ただし、預貯金を差し押さえるための預貯金口座の調査は容易でない現実がありますし、不動産の強制競売による換価については、返済中の住宅ローンがあること、競売手続に高い予納金が必要になることが支障になります。
そのため、多くは給与所得者の給与を差し押さえることを想定して公正証書が作成されます。